ごあいさつ

北海道奨学金ネットワーク代表 木村純 

 北海道奨学金ネットワーク設立の意義は二つあります。

 一つは二十数もの団体が一堂に会し、北海道の高校生・大学生の奨学金問題について考えるのは大きな力になるということです。これまでの私たちの活動の結果、政府も奨学金制度の改善に向けて動き出しました。私たちがきちんと主張すれば、それをむげにはできないという流れができました。

 「ネットワーク」とは単にここに集まった団体・個人だけのものではありません。各団体には、奨学金を受け取っている学生や生徒、今まで各団体の努力で長く奨学金を受けて勉学に励んできた若者たちがいます。彼ら・彼女たちの思いを踏まえて結集して活動することは大切なことです。

 もう一つは、ネットワークを通じて、私たちは奨学金支給にあたり多様な視点をお互いに持つことができるということです。例えば私が理事長をしているコープ社会福祉基金では、ひとり親家庭の高校生に奨学金を支給しています。中学時代に不登校だった子どもたちは通常の評定はつかないため、奨学金支給の上での成績基準はクリアできず、「高校で出直そう」と意欲を持っても従来の基準では対象にできませんでした。そこで、そうした子どもたちは別枠にしました。さらに特別支援学校にも対象を広げました。こうしたことにより年々応募者が増えてきました。私たちは「自分たちらしい奨学金はどうあるべきか」と悩みながら活動してきました。このネットに加盟された各団体の方も、「子どもたちにどう対応すべきか」と日々悩みながら工夫されていることと思います。「どんな困難があり、どんな工夫をしてきたか」-そうした経験を、このネットワークを通じて交流することは奨学金のあるべき姿を考え合う上でとても重要なことです。きょうを機に皆さんとともにネットワークを発展させていきたいと思います。

(2017年5月18日・設立総会あいさつより・要旨)